TUT-Code をより使い易くするための改造案として、 「TUTかな」に“半濁音キー”を追加した「タッチ17」というものを C.大岩さん が提案しています。
これは、“半濁音キー”を使用することにより 4ストロークの「かな」(半濁音「ぱびぷぺぽ」、その他「づヴヵヶ」)を 3ストロークにアサインする(以下、“3ストローク化”)方法です。 (「TUTかな」は、エプソンより「タッチ16」として商品化されたことがあるので、 「タッチ16 + 1」という意味で「タッチ17」と命名されました)
また、メーリングリストのtut-code-ml にて、“Touch16+”なる妙案を かぜはるか さんが提案しました。 これは、“半濁音キー”の追加によらず“3ストローク化”をおこなうものです。 さらに、m(as)m さんからは、「ヴ」を「ワ行」にアサインするという妙案もでてきました。 これにより、「TUTかな」との互換性をそこなわずに“3ストローク化”が可能となりました。
というワケで、ちょっとだけ、ボクなりに
「タッチ17」の17番目のキーと“Touch16+”についてまとめてみました。
# ボクの場合、101 keyタイプのキーボードを使っています。
まずは、「TUTかな」における濁音キー(▽)の位置について考えてみます。
(第1打目・左手) (第2打目・右手)
+--+--+--+--+--+ +--+--+--+--+--+
|や|ま|か|あ|は| |□|ウ|イ|□|□|
+--+--+--+--+--+ +--+--+--+--+--+
|わ|さ|た|な|ら| |エ|オ|ア|▽|□|
+--+--+--+--+--+ +--+--+--+--+--+
|□|□|□|□|□| |□|□|□|□|□|
+--+--+--+--+--+ +--+--+--+--+--+
▽: 濁音・半濁キー
□: 未使用
「TUTかな」は上記のような配列になっていますが、 常日頃この濁音キー(▽)の位置はとても絶妙だと感じています。 二打目の濁音キー(▽)を軸にして、三打目がスムースに打鍵でき、 あたかも二打目、三打目が一打鍵のような感じになります。
濁音キー(▽)として「l」が使われているので、 「LR」というストロークで二打目が「l」の配列は以下のように歯抜けになっています。
+--+--+--+--+--+
|□|見|□|□|□|
+--+--+--+--+--+
|□|□|□|ん|社|
+--+--+--+--+--+
|任|引|党|受|思|
+--+--+--+--+--+
次に、17番目のキーである“半濁音キー”について考えてみます。 候補としては、第三打への動作のスムースさ[*1] から 濁音キー(▽)の右隣りの「;」、または真上の「o」 が有力ですが、 濁音キー(▽)と同じように中段にある「;」がより有効であると思われます。
[*1] 濁音の二打目、三打目というストロークを 考えてみると、 指を動かしにくいキーから動かしやすいキーへ移動するストローク (右手では、右から左へ、下から上へというストローク)が スムースに打鍵できるようです。
仮に“半濁音キー”として「;」を使うことにすると、 それぞれのキーアサインを以下のように変更することになります。
「ぱ」(tltk) -> (t;k)
「ぴ」(tlti) -> (t;i)
「ぷ」(tltu) -> (t;u)
「ぺ」(tlth) -> (t;h)
「ぽ」(tltj) -> (t;j)
「づ」(dldu) -> (d;u)
「ヴ」(rlru) -> (r;u)
「ヵ」(elek) -> (e;k)
「ヶ」(eleh) -> (e;h)
また、「LR」というストロークで二打目が「;」の配列は以下のようになっています。
+--+--+--+--+--+
|空|線|合|家|集|
+--+--+--+--+--+
|歌|明|長|方|政|
+--+--+--+--+--+
|置|争|義|査|派|
+--+--+--+--+--+
この結果、「TUTかな」の4打鍵を撲滅するために犠牲になって 2ストローク漢字から外れてしまう漢字は、以下の四文字となります。
「集」(t;) : 「ぱぴぷぺぽ」用
「長」(d;) : 「づ」用
「家」(r;) : 「ヴ」用
「合」(e;) : 「ヵヶ」用
そこで、“半濁音キー”を追加するメリットと 「集長家合」が直接入力できなくなってしまうデメリットを比べて、 どちらがトクか、よく考えることになるかと思います。 「ヴヵヶ」については、使用頻度が低いので特に“3ストローク化”する必要もないかも しまれせん。
犠牲になった文字については、
「集」(t')というように、 TUT-Code で予約している15個以外の右手キー(たとえば、この場合は「'」)を使ってアサインするか、 「かな漢字変換」によって入力することになります。
「長」(d')
「家」(r')
「合」(e')
Canna で、以下のようなローマ字カスタマイズを試してみました。
結果は、なかなか良好です。 :-)
集k ぱ
集i ぴ
集u ぷ
集h ぺ
集j ぽ
長u づ
家u ヴ
合k ヵ
合h ヶ
d; \0 長
e; \0 合
t; \0 集
r; \0 家
“3ストローク化”によって犠牲になってしまった文字の救済方法として、 二打目が同じストロークの漢字を身がわりにつぶしてしまうというのはどうでしょうか。 候補になるのは、以下の漢字群です。
LR
+--+--+--+--+--+
|空|線|合|家|集|
+--+--+--+--+--+
|歌|明|長|方|政|
+--+--+--+--+--+
|置|争|義|査|派|
+--+--+--+--+--+
RR
+--+--+--+--+--+
|王|衛|劇|親|爆|
+--+--+--+--+--+
|位|在|式|済|究|
+--+--+--+--+--+
|末|塁|状|即|辺|
+--+--+--+--+--+
たとえば、この中でさしあたってあまり使うことのない“歌王爆塁”を
以下のように設定してしまいます。
# ちょっと大胆すぎますかねぇ。 :-)
歌(a;) -> 長
王(y;) -> 合
爆(p;) -> 集
塁(m;) -> 家
これは、 かぜはるか さん が発案した、 「TUTかな」の4ストローク文字(半濁音「ぱびぷぺぽ」、その他「づヴヵヶ」)を 3ストロークにアサインする方法ですが、 「タッチ17」とは異り、“半濁音キー”を追加することなく“3ストローク化”が可能です。
ぱ tltk → tld
ぴ tlti → tle
ぷ tltu → tlr
ぺ tlth → tlg
ぽ tltj → tlf
づ dldu → dlr
ヴ rlru → rlr
ヵ elek → eld
ヶ eleh → elg
このように、4打目の母音を鏡像反転させて3打目の左手に持ってくることにより “3ストローク化”します。 また、「ヴ」以外の文字は、従来の4ストロークとの併用も可能です。 さらに、 m(as)m さん による、「ヴ」を「ア行」ではなく「ワ行」にアサインする という妙案を採用することにより、「ヴ」の問題も解決することができます。
ヴ rlru → alu
というわけで、Canna の場合は、tut.kpdef に以下の記述を追加するだけです。
/* Touch16+ by Kenji Higaki & Seigo Masumura */
tld ぱ
tle ぴ
tlr ぷ
tlg ぺ
tlf ぽ
dlr づ
alu ヴ
eld ヵ
elg ヶ
TUT-Code への互換性を保ちながら、半濁音などの4ストローク文字を3ストロークの コードに割り当てるという意味においての“タッチ17”化は、かぜはるか さんと増村さんの 妙案により“タッチ16”のままでも可能なことがわかりました。
そこで、この拡張コードを“Touch16+”と呼ぶことにします。
3ストロークの空きは、「al*」という部分しかないと勘違いしていましたが、
「*l*」というコードで未使用の部分が結構残っていることがわかりました。
「al*」というコードは、以前より機能キーとして使われていることが多いのですが
(「alk ゎ」は除く)、他のアサインも機能キーとして使ってもいいかもしれませんね。
# 「ヵヶ」をアサインするという方法も……。